高岩肇がオリジナル・シナリオを執筆、田中徳三が監督した忍者ものシリーズの霧隠才蔵編。撮影もコンビの武田千吉郎。
監督:田中徳三
出演:市川雷蔵、磯村みどり、若山富三郎、二代目中村鴈治郎、小林勝彦、成田純一郎、島田竜三、伊達三郎
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忍びの者 霧隠才蔵 (1964)のストーリー
慶長十九年、大阪冬の陣は全て、家康( 二代目中村鴈治郎 )の思惑通りに事が運び、秀頼(成田純一郎)方は、落日の色が濃くなった。主家の大事に馳せ参じる者も少く、真田幸村( 若山富三郎 )のみが、九度山にこもっていた。一方天下の覇権を急ぐ家康は、条件に反して大阪城の内堀をも埋めて秀頼らを苦しめた。霧隠才蔵(市川雷蔵)の報告を聞いた幸村は、家康の行動を探ぐるため、才蔵を駿府に、子息大助(小林勝彦)を島津に出した。途中、大助は家康方を探ぐっていた彦八(沖時男)に、襲われたが才蔵に助けられた。彦八は家康方に仕官する武部与藤次(須賀不二男)の一党にねがえったのだった。駿府に入った才蔵は、武部の手の者に追われ、遊女屋の一室に忍び込んだ。そこで、家康の兵に追われ、今では、遊女に身を落している腰元茜( 磯村みどり )に再会した。奇縁に喜んだ二人だったが、武部の追手のために、すぐ別れねばならなかった。幸村は才蔵、筧十蔵、海野六郎、穴山小助、乾左平次らに家康暗殺を命じた。一番手の乾は、湯殿の家康を狙ったが、失敗して殺された。次の海野も濠の水門で果てた。家康は、暗殺者のはいかいするのも知らぬげに、例年通り、華やかな花見の宴を催した。中庭の櫓で狼楽踊りが最高潮に達した時、美しい音色の琴がやみ、真二つに割れたのを合図に、筧と穴山が短銃を発砲した。下役人になりすましていた才蔵も槍を閃めかして家康にいどんだが、家康は、影武者だと偽って逃げた。そして、猿楽師の中に混じっていた茜も捕えられて、石牢に閉じこめられ、筧、穴山、才蔵の三人も、死を選んだ。悲しんだ茜は、才蔵の土饅頭に突伏して、胸を刺そうとしたが、才蔵は半日間の仮死状態に堪えて、茜の前に現われた。喜びすがりつく茜を置いて大阪に向った才蔵は、幸村の住む破れ寺で武部らに、包囲された。家康は幸村を仕止めたという報を聞くと茶臼山に兵を進めた。それは大阪夏の陣の始りであった。だが家康の予想に反して大阪城は、幸村が守りを堅めていた。武部は、才蔵の刀で、真二つに転がったものの、戦況はかわらず、大阪城は落城した。秀頼も幸村も自害したといわれながら、死体はどこからも見つけられず、才蔵の漕ぐ船が、どこともなく去ったのを知る人は少い。